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機能性色素よもやま話

染料のなりたち

人類は有史以来、植物や動物から抽出した天然染料を利用し、色彩豊かに暮らしてきました。19世紀になり有機合成染料が工業化されると、合成染料はその鮮明さや堅牢性、価格の安さから、世界中に普及しました。例えば、天然染料の藍から合成染料のインディコへというように。合成染料はその用途に応じて種々開発され、技術革新を遂げてきました。
「機能性色素」は、染料本来の着色性以外の特異機能性を備える材料として、日本を起点に提唱されてきました。今日では、表示デバイス、エネルギー、調光用材料など様々な工業品に使用されています。各種エレクトロニクス分野の発展を支える材料として、「機能性色素」にはさらなる開発が期待されています。

山田化学工業では、染料合成で培った有機合成技術を活かし、「機能性色素」の開発に注力しています。
「機能性色素」の特異機能性とその用途について、ご紹介します。

機能性色素とは

「機能性色素」とは、染料本来の性能である着色性以外に、わずかな外部エネルギー(光、熱、電場、圧力など)によって新たな機能を発揮する色素です。分子のπ電子共役系を制御することで、紫外光領域から可視光、近赤外光領域に至るまで、特定波長領域の光を吸収します(「光選択吸収性」)。これら色素の中には染料本来の着色性に加え、「光導電性、二色性、蛍光性、昇華性、クロミズム性、非線形光学性、光電変換性」などの光学的、電気化学的性能を有するものもあります。

機能性色素の種類

特定波長吸収色素

山田化学工業は、機能性色素の光選択吸収性を利用した「特定波長吸収色素」を開発しています。
なかでも「可視光吸収材料」は、液晶ディスプレーに内蔵されるカラーフィルターの調色用染料として使用されています。有機染料ならではの透過性と急峻な分光特性によって、バックライトからの光を精度良く吸収することができます。可視光吸収材料のこの特長はカラーフィルターの高い色分解性に寄与し、ディスプレイの色再現性向上に貢献しています。
「可視光吸収材料」は、光学フィルターをはじめ、光記録材料、有機太陽電池、有機エレクトロクロミック用途に展開できます。
太陽光に含まれる赤外線は目に見えない長波長の光であり、体感温度を上昇させます。「近赤外光吸収材料」は熱線である近赤外光領域の光を吸収することができるので、熱線遮蔽(遮熱)に効果的です。車や建材の窓ガラスなどに利用され、省エネ材料として注目されています。
山田化学工業の「近赤外光吸収材料」は、可視光領域に近い波長の材料から1000nm近傍の材料まで豊富に取りそろえています。可視光の吸収を抑えつつ近赤外光領域の光を効率的に吸収するこれらの材料は、各種フィルター用途に加え、レーザー溶着、偽造防止インク、各種センサー用途に応用できます。

フォトクロミック色素

サングラス
 
「フォトクロミック色素」は光に反応し、発色・消色を繰り返す色素です。フォトクロミック色素を用いた機能性レンズには、室内では透明で、屋外では太陽光に含まれる紫外光により発色するものがあります。このような機能性レンズは、サングラスに活用されています。
調光材料や紫外線インジケーターをはじめ、光スイッチ機能を利用した様々な用途への応用が期待されています。

発光材料(蛍光色素)、ロイコ色素

 
山田化学工業では「発光材料(蛍光色素)」や「ロイコ色素」を開発しています。
「発光材料(蛍光色素)」 は有機ELや色素レーザーの材料に、 「ロイコ色素」は示温材料としてインクなどのステーショナリー製品に応用できます。
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