──開発部のNは、従来の色素にはない特性を持つ「色素A」の開発に携わり、膨大な数のサンプルを合成してきた。開発に頓挫していたとはいえ、このまま眠らせておくには惜しい技術を、別の用途に使えないものかと思案していた。そんなあるとき、営業のYから新しいディスプレイの光学フィルターとして、色素提案の依頼が舞い込んできた。
Y(営業)
お客様から「このような特性の色素がないか」と要望されて、合致しそうだなと頭に浮かんだのが、Nくんらが1990年代に別用途で開発していた「色素A」でした。それをお客様のもとに持っていって評価してもらうと、これは使えそうだとなったんです。